同じ出来事が起こったとしても、前向きに考えられる人と、そうでない人に分かれる。仕事でミスをした場合、この仕事は私には向いていないと感じるか、同じミスを起こさないように努力をするかによって、人生は良くも悪くも、変化していく。その変化が積み重なるにつれ、個々のモチベーションの差に驚くことさえある。楽しく働く人とそうでない人、どこに違いが存在するのか。
今回は、心理学の三大巨頭の一人である「アドラー」に関しての本を手にとった。アドラー心理学は、「常識的であり、健全」「わかりやすい」「取り組みやすい」ことが特徴としている。三代巨頭の残り2人、フロイトとユングは、医療の分野で用いられる心理学を主としているが、アドラーは「普通の人、健常者が何らかの理由があって、少し健康に過ごすことが出来ないときのための心理学」として、世に知られている。避けようもない、外側からふりかかってくる問題を「人生の課題(ライフタスク)」と呼び、①仕事のタスク②交友のタスク③愛のタスクとして3つに分類される。この中で③愛のタスクは、心理的距離が近く触れ合う回数が多い為に1番難しいとされており、①仕事のタスクが最も取り組みやすいとされている。このことにより、普通の働く人にこそ取り入れるべき心理学であると語られている。
同書は、アドラーの言葉を実際に用いながら解説を行っている。また、基本となる5つの理論を理解し、クセ・習慣の改善を実践しやすい内容でまとめられている。
基本の5つの理論とは
①自己決定性
人間は、自分の行動を自分で決められる
②目的論
人間の行動には【原因】があるのではなく、【目的】がある
③全体論
人間は『部分』に分けられない。『全体』からとらえなければならない
④認知論
人間はそれぞれ自分独自のものの見方・考え方(心のメガネ)を通して現実にふれ、意味づけ、行動している
⑤対人関係論
人間はいつも『特定の誰か』(他者であることもあれば、自分であることもある)を想定して行動している
上記の理論に加え、クセ・習慣に対しての3つの特徴も挙げられている。
クセ・習慣とは
①無自覚であること
②パターン化していること
③器用にできていること
アドラー心理学では、このクセ・習慣こそが「性格」の形成に大きな影響を与え、性格は「変わりうるもの」であり、「変わらない」「静的なもの」ではないとしている。
仕事が上手くいかない、上司と合わない、人間関係に疲れている、やる気が起きない、このように悩む理由は、なにも「変わらない」と諦めていることがあるからではないだろうか。5つの理論を理解し習慣化すれば、このような悩みは改善される。結局は自分で全て決められるということ、原因ばかりを探さず、どこに向かって動いているのか、誰に対して目的を掲げているかを明確にすること。そして全体を見る視野を大きく持ち、色々な物の見方があることを理解すること。働く全ての方が、目的意識を持ち、過去にとらわれずに前を向くことが出来る1冊である。
私の心の問いかけに心動かれた方は、この本を手にとっても良いかもしれません。この本があなたの人生を変える一冊になると、嬉しいです。
働く人のためのアドラー心理学
「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣
[著]岩井 俊憲
働く人のためのアドラー心理学 「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣 (朝日文庫)
- 作者: 岩井俊憲
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2016/05/06
- メディア: 文庫
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